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分娩休止が相次ぐ理由 分娩取扱施設の減少と産科診療所の経営
tl;dr 30秒で
- 9月中に分娩を実施した病院・診療所は、2011年の2,378施設から2023年は1,766施設に減った(医療施設調査)。診療所の減り方が大きい。
- 背景は、出生数の減少による分娩件数の減少、医師・助産師の確保の難しさ、医師の働き方改革、物価と人件費の上昇。
- 日本産婦人科医会の調査では、分娩を取り扱う産科診療所(医療法人)のうち経常利益が赤字の施設は2023年度に42.4%。
- 正常分娩の費用は2028年6月までに国が定める基本単価に変わる。単価の水準が分娩を続けるかどうかの判断に影響するとみられている。
病院や産科のクリニックが「分娩休止」「分娩取扱い終了」を告知するケースが各地で続いています。外来の妊婦健診は続けながら、お産だけをやめる形が多く見られます。このページでは、厚生労働省の統計と、出産費用の見直しにあわせて行われた調査をもとに、分娩施設が減っている理由と、2026年の改正健康保険法がどう関わるかを整理します。
01overview
分娩休止とは
分娩休止とは、産婦人科や産科を持つ医療機関が、お産(分娩)の受け入れをやめることです。多くの場合、妊婦健診や婦人科の外来は続け、分娩は近くの病院や連携先に紹介する形に変わります。期間を区切った「一時休止」もあれば、分娩の取扱いを終える場合もあります。
妊婦にとっては、健診を受けているクリニックとは別の施設で出産することになり、分娩施設までの距離が延びる地域もあります。地域の周産期医療をどう保つかは、都道府県の医療計画でも課題として扱われています。
02data
分娩を実施する施設はどれだけ減ったか
厚生労働省の医療施設調査では、各年9月中に分娩を実施した施設数を集計しています。2011年に2,378施設あった施設は、2023年には1,766施設になりました。病院が1,051施設から886施設へ、診療所が1,327施設から880施設へ減っており、診療所の減り方が大きいことが分かります。2023年には病院の数が診療所をわずかに上回りました。
分娩件数(9月中)も、病院では46,386件から32,691件へ、診療所では40,309件から26,335件へ減っています。一方で、帝王切開や無痛分娩が分娩に占める割合は増えています。
| 年(各年9月中) | 分娩を実施した施設 | うち病院 | うち診療所 |
|---|---|---|---|
| 2011年 | 2,378 | 1,051 | 1,327 |
| 2014年 | 2,284 | 1,041 | 1,243 |
| 2017年 | 2,139 | 995 | 1,144 |
| 2020年 | 1,945 | 946 | 999 |
| 2023年 | 1,766 | 886 | 880 |
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分娩休止が相次ぐ理由
1つ目は、出生数の減少です。出生数は2024年に約72万人となり、減少が加速しています。分娩件数が減ると、24時間お産に備える体制の費用を、少ない件数で賄わなければなりません。
2つ目は、人の確保です。分娩を扱うには、夜間や休日も含めて医師・助産師・看護師がそろう体制が必要です。2024年4月からは医師の時間外労働の上限規制が始まり、少ない医師で当直を回すことがより難しくなりました。日本産婦人科医会の調査では、分娩を扱う産科診療所の医師は常勤換算で平均2.8人で、50歳代と60歳代が全体の約3分の2を占めています。
3つ目は、費用の上昇です。物価と人件費が上がる一方、分娩料を上げれば妊婦の負担が増えます。大都市では給与費の比率が高く、人口が減っている地域では分娩件数が少ないことが、それぞれ経営を圧迫していると報告されています。
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産科の経営はいまどうなっているか
日本産婦人科医会が分娩を扱う産科診療所を対象に行った調査では、医療法人(191施設)の経常利益が赤字の施設は、2022年度の41.9%から2023年度は42.4%に増えました。同じ調査のシミュレーションでは、分娩料が一律に5万円下がると、赤字の施設は60.8%になるとされています。
厚生労働省の研究班による分娩取扱施設の費用構造調査でも、回答した病院(74施設)の損益率は2022年度が▲5.4%、2023年度が▲6.9%でした。医療法人の診療所(43施設)は2022年度が6.3%、2023年度が3.6%と黒字ですが、利益率は下がっています。
いずれの調査も回答した施設の数字で、すべての分娩施設を表すものではありません。それでも、病院と診療所のどちらでも、分娩を続けるための余力が小さくなっていることが読み取れます。
| 調査 | 対象 | 2022年度 | 2023年度 |
|---|---|---|---|
| 日本産婦人科医会(経常利益が赤字の施設の割合) | 産科診療所・医療法人 191施設 | 41.9% | 42.4% |
| 分娩取扱施設の費用構造調査(損益率) | 病院 74施設 | ▲5.4% | ▲6.9% |
| 分娩取扱施設の費用構造調査(損益率) | 診療所・医療法人 43施設 | 6.3% | 3.6% |
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出産費用の見直しとの関係
2026年5月に成立した改正健康保険法で、正常分娩の標準的な費用は、国が定める分娩1件当たりの基本単価で保険者から施設に支払われる仕組みに変わります。施行は公布から2年以内(2028年6月まで)です。妊婦の負担はなくなりますが、施設にとっては分娩料を自分で決められなくなります。
日本産婦人科医会が2025年3月に公表した調査では、正常分娩の費用が保険適用になった場合に「分娩取り扱いを止める」または「制度内容により中止を考える」と答えた医療機関は、回答した785施設のうち486施設でした。国会の附帯決議でも、地域の分娩施設の経営実態を踏まえた標準的費用の設定や加算措置が求められています。基本単価と加算の水準が、今後の分娩休止の動きを左右するとみられています。
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分娩を続けるための選択肢
分娩を続けるかどうかは、件数、人の体制、地域での役割をあわせて判断することになります。続ける場合は、受付・予約・問診・会計などの事務を仕組みで減らし、医師と助産師が分娩とケアに時間を使えるようにすることが、費用と人の両面で効いてきます。
分娩をやめる場合も、妊婦健診と産後のケアを続け、連携する分娩施設へ情報を確実に引き継ぐことで、地域の妊婦を支え続けることができます。紹介状や健診の記録を電子的にやり取りできる体制は、どちらの道を選んでも役に立ちます。
後継者がいない、あるいは開設者が高齢で分娩体制を維持できないという場合は、承継によって医療機関そのものを残す選択肢もあります。
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運営の現場から
KAIZENグループには産婦人科と不妊治療のクリニックがあり、本部は予約・問診・電子カルテ・患者さんへの連絡の仕組みを自社で作っています。現場の事務が減ると、医師と助産師・看護師が患者さんに向き合う時間が増えることを、日々の運営で実感しています。
制度の数字が示されたら、このページも更新します。
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よくある質問
- 01
分娩を取り扱う施設はどのくらい減っていますか?
厚生労働省の医療施設調査では、9月中に分娩を実施した病院・診療所は2011年の2,378施設から2023年の1,766施設に減りました。病院は1,051施設から886施設へ、診療所は1,327施設から880施設へ減っています。
- 02
分娩休止になると、そのクリニックで妊婦健診は受けられなくなりますか?
分娩を休止しても、妊婦健診や婦人科の外来は続ける医療機関が多くあります。出産は連携する病院などで行い、健診の記録や紹介状を引き継ぐ形が一般的です。具体的な扱いは各医療機関の案内を確認してください。
- 03
出産費用の保険適用で、分娩施設はさらに減りますか?
新しい給付では、正常分娩の費用は国が定める基本単価で支払われます。日本産婦人科医会の調査では、回答した785施設のうち486施設が「分娩取り扱いを止める」または「制度内容により中止を考える」と答えました。実際の影響は、告示される基本単価と加算の水準によって変わります。
- 04
分娩施設が減っている一番の理由は何ですか?
出生数の減少で分娩件数が減っていること、夜間・休日を含めて医師・助産師をそろえることが難しくなっていること、物価と人件費の上昇が重なっていることが主な理由です。医師の働き方改革で当直体制の維持が難しくなったことも影響しています。
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出典
- 令和5(2023)年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況厚生労働省 · 2025
- 産科診療所の経営状況と今後の事業継続の見込みに関する調査結果(第8回 妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会 資料2-2)公益社団法人日本産婦人科医会 · 2025-03-19
- 分娩取扱施設における出産に係る費用構造の把握のための調査研究(第9回 妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会 資料1)厚生労働省 · 2025-04-16
- 健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の成立について厚生労働省 保険局 · 2026-06-18
この解説は、公的機関などが公表した資料をもとにAIが書いた一般的な情報です(時点はページの冒頭に記載)。制度は改定されることがあります。個別の判断は、最新の公表資料や所管の窓口でお確かめください。
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